ゆめキララキッズスクール

コラム

〈ゆめ。そろばん教室〉 悔し涙の価値

ある姉妹が、同時にそろばんを習い始めました。お姉ちゃんは小学校2年生。妹は年長さんでした。最初の1年間はお姉ちゃんがどんどん進んでいきました。しかし、5級ぐらいになると妹がどんどん追いついてきました。お姉ちゃんは何でもできる優等生で、今まで妹には負けたことがなかったと思います。口には出さないけれど、お姉ちゃんはプレッシャーで日に日に表情が硬くなっていくのが分かりました。明らかにイライラもしていました。ある時、同じ級の検定試験を受けた結果、なんと妹だけ合格。お姉ちゃんが声も出さずに大粒の涙をポロポロとこぼしていた姿が今でも忘れられません。
もし、あなたが親ならその後どうしますか?妹に抜かされたら辞めさせますか?それとも続けさせるでしょうか? お子さんの性格や状況によって異なりますから、正解は一つではないでしょう。でも、この悔し涙はとっても価値があると思いました。涙には「わがままを押し通そうとする涙」「感情が高ぶった涙」「甘えの涙」など、いくつもの種類がありますが、「悔し涙」は自己を成長させる涙です。合格した妹が悪いわけではありません。もちろん、お母さんが悪いわけでもありません。他人のせいではないけれど、自分だって悪いわけではない。相手のせいではなく、自分に向き合わなければその悔しさは解決できません。ですが、そうした事を学ぶ体験が幼少期に出来ることは貴重な体験です。大人になった時にこそ、悔し涙を拭いて立ち上がれるようになってほしいと思います。
その後、お姉ちゃんはそろばんを続けましたが、妹よりも先に進級することはありませんでした。けれど、神経質に周囲を気にすることがなくなり、おおらかな性格に変わっていきました。「めげない」「逃げない」「諦めない」幼少期にたった一度でも、そろばんを通じてそんな経験をしていただけたらと思います。